仕事もひと段落したので年末の都内を歩いてきました。向かったのは代々木から原宿あたり。都内から人の気配が少しずつ減っていく、この季節特有の街の空気を撮りたくなりました。
今回のお供は Nikkor-S 55mm Auto F1.2。以前はZ6に装着して使いましたが、今回はZ5に取り付けての撮影です。


改めて手にすると、やはりこのレンズはずっしりと重い。持って歩くのにカメラボディ側を持つと、レンズの重さに引っ張られて手首に負担がかかってしまうので、自然と左手はレンズを握る形で歩きます。
そしてこの季節特有の感覚。金属製の鏡筒が、じわじわと体温を奪っていくのが分かります。朝7時から8時頃に歩き始めるのですが、最初のうちはこの冷たさに慣れるまで少しきつい。それも含めて、このレンズとの付き合い方なのだなと思います。
1960年代に発売されたレンズとは思えない存在感。50年以上前のレンズが、いまのミラーレス機に装着されて、何の違和感もなくそこにある。その事実だけで、気持ちが高ぶります。たまりません。
本音を言えば、開放のF1.2を積極的に使いたいのですが、屋外撮影では仕上がりの当たり外れがどうしても大きくなります。なので、ほんの少し絞って F1.4〜F1.6あたりを中心に撮影しました。
このレンズはF2より手前の絞り値に明確な数字の刻印がないので、感覚的にその位置へ合わせています。実際に絞り羽根を確認すると、わずかに絞られているのが分かり、おおよそその辺りの絞り値だろうと判断。

背景は大きく崩れ、条件によってはボケが少し騒がしくなることもあります。被写体に薄いヴェールがかかったような雰囲気が出ることもあれば、逆に荒々しさが前面に出てくることもあります。本当に表情の幅が広い、そして非常に個性的なレンズです。
正直、このレンズは「ちょっと持ち出すか」という気軽さはありません。重さもクセもあります。それでも、いざ持ち出してしまえば、撮影そのものがとにかく楽しい。
ファインダーを覗き、ピントを合わせ、シャッターを切る。その一連の行為が、いつもより少しだけ濃密になる。Nikkor-S 55mm Auto F1.2は、そんな時間を与えてくれるレンズです。
















