50mm近辺のレンズが気になり、この間はNikkor Auto 55mmを手にして庭園美術館に行ってきました。

突然、55mmレンズを、もう一本持っていたことを思い出しました。Super Takumar 55mm です。定番中の定番のオールドレンズ。私が持っているのは後期型のアトムレンズの放射能レンズです。放射性物質を含んだガラスを使用しているそうです。この名前を聞いただけでひるみますが、世に売っているんだから問題ないだろうと、自分に言い聞かせて撮影へ。Asahi Pentax Super-Takumar 55mm f/1.8も、開放の世界を覗きに近所の豪徳寺へ行ってきました。

大谿山 (だいけいざん) 豪徳寺は、世田谷区にある曹洞宗の寺院。彦根藩主、井伊家の江戸における菩提寺で、井伊家ゆかりの文化財が数多く所蔵されています。最近は、外国の観光客が多くなってきましたが、朝8時までは空いているので、早起きして7時に訪れる。

Super Takumar 55mm f/1.8は、Asahi Pentax 時代を代表する、M42スクリューマウントの標準レンズです。製造時期によってコーティングや描写が少しずつ異なるそうで、共通して柔らかい光のにじみや、繊細なトーン、やさしいボケが特徴らしいです。

開放ではややフレアが出やすく、コントラストは低め。そのかわり、光をふんわりと包み込むような表現が得意とあります。狙ってみようかと思いましたが、朝7時の光は低すぎますね。薄曇りで太陽光が見当たらない。レンズは選べても天気は選べないのです。



曇り空に負けずに開放f/1.8で景色を切り撮っていきます。最近はどうやって絵作りをしていこうかと、撮る前に景色を見ながら考える時間が増えました。街で瞬発的な撮影をしなくなってからは、静物をどうやって構成するかを、じっくり考えるようになりました。時間や光の具合で、同じ立ち位置で撮影しても、仕上がる写真は全く違います。そんなことを楽しめるようになってきました。もっと光の差異を見極める目が欲しい。

Z6 × Super-Takumar 55mm f/1.8この組み合わせの魅力は、最新機とクラシックの共存です。Z6の高精細なセンサーが、Takumarの柔らかい描写を「丁寧に拾い上げる」感覚というか。まるでオールドレンズの味わいを、現代の技術で再現しているようです。ミラーレスを持っていて「もっと表現の幅を広げたい」と思っている人には、Super Takumarは入門オールドレンズにぴったりだと思います。それに、開放f/1.8レンズは扱いやすい。初期、前期、後期、個体の種類があるようですが、いろいろと比較している方々がいるので検索してみて欲しいです。

アダプターは、SHOTENの M42-NZ (M42マウントレンズ → ニコンZマウント変換)のもの。バランスから見て、このレンズに対してはもう少し薄くしたいけど、それは叶わぬことですね。黒で統一できるから、これはこれでよしとしました。



何でもかんでもボカすというのは、一般的には「なんとかの一つ覚え」のように見られていると思います。その場その場で絞りを調節して、情報の足し算と引き算の塩梅を作るのが一般的なのだと思いますが、今の時代、ボケが好きな人がいても、いいと思っています。オールドレンズだから解像度が低いけど、時代は進んで高精細なカメラのセンサーと、オールドレンズとの共演が始まっているわけで、それはミラーレスだからできる、新しい表現を生んでいるように思います。

このレンズのピントリングは、私にとってちょうど良いトルク感なので気に入っています。カメラやレンズは道具なので、自分の身体感覚に合うものうを選ぶのがいいと思う。ただそれを探すということは、値段がそこそこするものなので、散財の海への旅路が待っていることになりますが…でも、何かを極めたい時って、無理してでも手に入れないと、その先の光景は見えないと思っています。

私の航路に終わりは見えないです。

