街のカメラ屋さんで C-41現像が可能な、利便性の高い白黒フィルム、ILFORD XP-2 super 400このフィルムは、あっさりとして上品な仕上がりになるんだけど、もう少しコントラストをつけたいと思い、イエローフィルターを付けてみました。レンズは、Carl Zeiss Biogon T*2.8/28ZM。今の自分の気持ちはレンズボケ期なんだけど、この組み合わせはパンフォーカスだろうと思い、f/8、f/11、f/16 あたりに設定。世田谷代田駅までの道のりと、新宿辺りを散歩しながらスマホを構えて撮るように、ラフなスタイルで撮影してみました。


ツァイス Biogon の金属の質感と精密な作り、M3によく似合います。ツァイスの透明感を引き出せるかな。

これは現代のクラシックと言っていいのか、光の抜け、線の繊細さ、歪みの少なさ。あれ、フィルムだっけ? と思わされる仕上がり。XP2 Super 400の粒子はとても滑らかで、白黒フィルムの中でも現代的なクリアさを持っています。そこにツァイスのT*コーティング (T*は透過層 Transmission Layer の略) による高コントラストとクリアさが加わると、まるでデジタルのような抜け感と、フィルム独特の柔らかさが共存するという、なんというか、本当になめらか。

イエローフィルターを入れても感度400のままで撮っているので、少しアンダーになっています。

レンズを手に取って感じるのは、密度です。Biogon 28mmはとてもコンパクトだけど、金属鏡筒の詰まった感触が頼もしい。フォーカスリングは滑らか、ピント合わせの精度は抜群。絞りリングのクリック感も程よく、撮影中に絞り値を変えるたびに「機械を操っている」感覚が心地よいです。日本のコシナ製ということもあり、作りの精度はまさに現代の工業美。古いM3との組み合わせでも違和感がないです。

外付けファインダーは35mmしか持っていないので、35mmを覗いて、後は勘で28mmを想像するやり方です。無限遠を、その時の絞りの位置に合わせて、シャッタースピードを変えて撮るだけ。慣れてきたらノーファインダーの時だってあります。フィルム Leica のスナップは、そんな撮影の仕方でいいと思う。


Biogonという設計思想。フィルム面に対してほぼ垂直に光を導く構造のため、歪曲が非常に少ない。建築を撮っても、直線がピタッと水平に収まる。もう写真を見ていて気持ちが良いです。







Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28 ZMは、ただの広角レンズではないと思います。光の抜け、線の繊細さ、歪みの少なさ、そのすべてが理知的な美しさを感じさせます。Leica M3とXP2 Super 400という組み合わせでも、その透明感は少しも失われない。むしろ、フィルムの質感によって、ツァイスらしさがより際立つというか。静かなシャッター音とともに、操作性の良いレンズ。これは定期的にこの組み合わせで撮りたくなるレンズでした。

