過去に SONY α7IVを手にしてから、いろんなレンズを試してきました。数本のレンズに、「すげえな」と心の声が出ましたが、このレンズもその1本です。それは Pentax 6×7用の銘玉「Super Takumar 105mm f2.4」 です。フルサイズ機に中判レンズを付けるという、ちょっと変態的(いい意味で)な撮影スタイル。しかし、これが驚くほど気持ちいい描写を見せてくれます。この記事では、実際に使ってみた感想や描写傾向、メリット・デメリット、作例の印象を記事にしてみました。

Super Takumar 6×7 105mm f2.4とは?

Pentax 6×7(67)システムの標準レンズとして非常に有名ですよね。自分のは初期ので少し黄変していますが、「中判の標準はこれ」と言っても過言ではない一本ではないでしょうか。
・開放 f/2.4の柔らかいボケ
・中判レンズならではの奥行き感
・立体感の強い描写
・昔ながらのオールドレンズらしいフレアと滲み
特にフィルムユーザーからの評価が高いレンズですが、ミラーレスになってからは、デジタルで使う人も増えていますね。α7IVとの組み合わせでは、中望遠(105mm)単焦点レンズとして使う感覚になります。
α7IVと組み合わせるメリット
中判レンズ特有の立体感とボケ量

フルサイズで使っても、中判レンズの「余裕のあるイメージサークル」から生まれる柔らかい周辺落ちや、ボケの滑らかさは健在です。
・背景がふわっと溶ける
・被写体の輪郭が自然に立ち上がる
・ボケのエッジが硬くない
現代レンズではなかなか得られない描写ですが、最近このブログで記事にした、NIKKOR 58mm f1.4G のレンズに、ものすごく近い描写をするように思います。

ということは、Nikonのレンズがすごいということになりますが!

α7IVの高画素の高感度耐性が相性抜群だと思う

オールドレンズは暗めで、逆光にも弱いですが、その弱点をα7IVの高感度耐性がカバーしてくれます。SONYを使っていると、SONYのセンサーは夜の撮影が得意なように思います。ISO感度もそうだし、上がる絵に光を感じるというか。いろんな機種を使っての体感でしかないのですが。
・ISO 2000〜4000でもノイズが少ない
・色乗りがしっかりしている
・EVFでピント合わせが楽
ただ、今は編集アプリのノイズ除去機能の性能が上がったので、他の機種でも問題なく使えますが、中判オールドレンズを、実用的な撮影機材にしてくれるのが、α7IVの強みのように思います。
マウントアダプターって無限の楽しさ

Pentax 6×7 → Sony Eマウントのアダプターは長めになりますが、これがまたカッコいい、もしくは変態的です。はっきり言って街で撮るには強い心が必要です。やましくありません、下心はありません、変なものは撮っていません、という滲み出る強気のオーラを醸し出さないと、すぐ変な目で見られるからです。歳を重ねてきたら、35mm、50mm、75mm、あたりで十分ではないかと、しみじみ思っています。今回は久しぶりに使ってみたくなり、試しに撮ってみた次第です。カメラの前に「大砲みたいなレンズ」が生えるので、所有欲は完全に満たされます。
実際の描写レビューなど
開放 f/2.4 滲むハイライト、ふんわり柔らか

開放では、オールドレンズらしいハイライトのにじみが出ます。ポートレートでは特に、
・肌が滑らか
・目の周りの光がキラッと滲む
・背景が柔らかく溶ける
というフィルム的な空気感が得られます。
f/4:急にシャキッと立体的に

一段絞ると急にキレが出始めます。
・中心が一気に解像
・ボケのエッジが整う
・色のにじみが減る
この開放の柔らかさ → f/4での急激な解像の変化が面白いレンズです。
逆光ではフレアが出るが、それが魅力

コーティングが古いため、逆光では豪快にフレアが出ます。ただ、これもオールドレンズらしい味だと思います。意図的に逆光を入れると幻想的な描写になりますね。。
使って感じたデメリット
重いし、そしてデカいよ
α7IVの前に巨大なレンズがつくので、見た目のバランスは圧倒的に「前重心」長時間の散歩撮影には向きませんが、筋トレと思えば楽勝です。自分に言い聞かせて、甘えさせない感じです。
ピント合わせのシビアさ
デメリットはこれに尽きると思います。開放のピント面は薄く、ピントピーキングでも外すことがあります。EVFで拡大しても外しがちです。
このレンズを使うなら

・オールドレンズの個性を楽しみたい
・現代レンズにはない柔らかさが欲しい
・α7IVで“特別な一本”を試した
・フィルムライクな写真が好き
こういう人には最高のレンズのように思います。逆に「解像力命」「AFが必要」という方には全く向きません。
完

ピタッとハマれば、撮っていて気持ちがいいレンズ。この一言に尽きます。現代レンズの完璧さとは別ベクトルにある1本で、
・柔らかさ
・立体感
・空気感
・逆光の滲み
こうした“デジタルでは作れない雰囲気”が簡単に手に入ります。これから買う方は初期ではなく、新しい方を買った方がいいと思います。α7IVとの組み合わせだからこそ、オールドレンズの弱点をカバーしつつ、その魅力を最大限に引き出せる、そんな撮影体験ができる組み合わせです。撮っていて楽しいのは間違いないです。

